220327
『悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える』を読み終わった。
ナチの迫害を避けアメリカへ亡命した政治哲学者ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』と『エルサレムのアイヒマン』についての解説書である。
全体主義への道というものが、我々市民の生活からいかに近いところにあるか、そしてユダヤの絶滅政策に従事したアイヒマンが持っていた信念めいた遵法精神とは。
ナチズムなどの、後世から見ると異端に思いたい思想が実際は我々全員が持っている知的な怠惰さ、無思想性から生まれ出てくるものであるとの指摘は、昨今のロシアによる軍事侵略、それによりばら撒かれた露プロパガンダに踊る人を見ると、まったく遠い話ではないのである。