焼人録

ただの備忘録兼日記帳です。なぜ公開している。

210111

鬼滅の刃を読んだ。昨日の夜中に全巻を揃えてみて、数冊読んでみようかなと読み始めたら、存外に面白かったから徹夜で読みきってしまった。 '

非常に濃い作品だった。一般的な連載作品だと日常の描写とかが挟まるものだけれども、鬼との戦いか、隊士あるいは鬼の過去のエピソードが次々出て来るといった形で、全てがキャラクターの掘り下げに関わる。その結果、非常に濃い印象を残していく。物語に引き込まれてグイグイ読んでしまった。

この漫画のキャラクターたちは自分の未来を滅多に語らない。10年後も1年後も無いような素ぶりを自然にする。それらは鬼殺隊の持つ死生観や鬼を倒さなければ明日がないと言う覚悟が、全てに一貫している事を伝える。

彼らは遠い未来を夢見ない。明日数分後数秒後のことを時間軸に捉える。そしてその時間感覚は物語の本流にまで反映される。

キャラクター達の哲学が一貫して同じ方向を向いている。もはや作品の美学であるように思う。

炭治郎は主人公として驚異的な速度で成長を遂げるが、それでも圧倒的に勝利する存在では無い。他の柱達も人間達の中では傑物として描かれているが、作品の佳境での鬼との戦闘では圧倒的というわけではない。これも、バトル物の少年マンガとして特異な部分だと思う。これだけ強烈にエピソードを付けて各キャラを描いておきながら、敵と戦っているときは集合体としての「鬼殺隊」を1人のキャラクターとして捉えるような扱いをしている。

人数を束ねて、やっと戦える存在なのだ。現実の軍隊に似ている。これだけ強烈な密度で描いてきたキャラクター達を、ある意味ドライな駒としても描いている。

作者の激情のままに描かれたうねりのある作品だとも思うし、定番に流さず、ドライに美学を貫いた作品とも言える。こういう特異性が驚異的なヒットを呼んだのだろうか。

 

この日記を書くにあたって、音声入力を取り込んでみた。キーボードを叩きながら文章を考えてきた時間の方が圧倒的に多いので、なかなか言葉が出てこない。それでも1から手で入力していくよりは、音声入力で大まかに文章を作って修正していく方が入力が楽な気がする。しばらくこれで試してみるかな。